雑くらし手帖

26歳OLのしょうもない日々

明日死ぬ

最近、新しい部署へ異動した。

今までとは全く違う、ひたすらにアイデアを出し合う所だ。

そして、オフィスが社長室や役員室と近い場所であるため、別名「殿上人フロア」などと呼ばれている。

 

こんな絨毯がフカフカで会社のエリートが集っている所に私がいるのは、笑止の沙汰でしかない。

前の部署では、もう一度受精卵からやり直したくなるミスを数え切れないほど連発し、自分の弱みや課題と出くわすばかりで、すっかり自信を失っていた。

だが、新しい環境下では課長や同僚に久々に「褒められる」という経験をし、心の何処かで舞い上がってしまっていた。

ある人からそれを指摘されたのだ。

 

「貴女は会社では偉くなるかもしれない。いや、多分偉くなる。

だけど、会社を出たらその肩書きは無意味なんだ。会社の役員だって、電車に乗ればただのオッサン。

 

出世の為に生きるあり方もあるだろう。

だけど、会社を辞めたら?何が残る?

貴女が明日死んだとしても『あーあれもこれも嫌だったけど、でもトータルでは良い人生だった!』って思える生き方が素敵な気がする」

 

もし明日死んだら?

絶対に後悔して、成し得なかったあれやこれやが走馬灯のように目の前を駆け巡るのだろう。

家族に感謝を、好きな恋人や友達、先輩後輩に好きな気持ちを伝えきれておらず、やりたいことをやりきれておらず、仕事も中途半端で、今死んだらタチの悪い地縛霊になってしまう。

 

だから、めちゃくちゃ変かもしれないけれど、「明日死んでも大丈夫?私よ?」と常に自問して生きていきたい。

 

そういえば、前の部署の同僚が異動前に

「俺、明日死んでも良い。そういう気概で仕事してきた。」

と含みの無いシンプルな笑顔で言っていたのを思い出す。

あの時は「何を大袈裟な……」と妙に冷めた心持ちで何となく頷いたが、今となっては彼の本気が本物であったことが分かるとともに、潔い生き方に敬意すら覚える。

 

明日死んだら嫌なので、ハイキュー!!の新刊を買ったし前から気になっていた陶芸教室を予約したし、久々に絵を描きたいから画材道具も揃えた。

 

明日死んだら??と思うと、やりたいことって溢れてくるものなんだねえ。