雑くらし手帖

26歳OLのしょうもない日々

亡霊

こんなに会社へ行きたい、仕事をしたいと思うことは、一度たりとも無かった。

1人でいると、深く、暗く、どろっとした海の底に引きずり込まれてしまいそうになる。

 

大好きなひとに、距離を置かれている。

 

きっかけははっきりしているのだけれど、原因は恐らくもっと前からあった。

本当に大好きなひとだ。

かっこよくて、優しくて、頭が良くて、しっかりしていて、趣味が合って、たまに見せる笑顔がとても可愛い。

気まぐれで、行列に並ぶのが嫌で、言動がたまにきつくて、背がちょっぴり低い。

彼の良い所は勿論そのまま好きで、至らない所も丸ごと、愛しいと思える。

 

彼と付き合いだしたのは半年くらい前で、私から連絡先を聞き出して食事へ誘って、程なくして彼から「付き合おうか」と言ってくれた。

こんなに私の頭が、心が、体が全部「好き」だと感じるような人は、正直に言うと今までに無かった。

実際に付き合い始めると、彼は気難しい所もあり、気を遣う場面が随所随所にあった。

それでも、一緒に山に登ったり美術館へ行ったり、クラシックコンサートへ行ったり、旅行へ行ったり、ランニングをしたり、お互いのおすすめのアニメや映画を観たり、マッサージをし合ったり、2人で同じ時間を共有していることが、本当に本当に楽しくて仕方ないのだ。

 

しかし、私は彼に支えられっぱなしだった。

仕事で悩み、疲れていて、それらを彼に零しては、彼に優しく時に厳しく励まし続けられた。

一方で彼にとっては、それが積もりに積もって大きな荷物になっていたのだ。

その荷物の重さが限界値を超えた時、気が付くと彼は以前よりも遠いところにいた。

 

前回の記事に少し書かせていただいたが、今回は「変わりたい」という気持ちが本気であること、今度は私もあなたを支えたいんだと強く思っていることを伝えたが、今も尚2人の距離はぽっかりと開いたままだ。

 

とりあえずベッドから這い出て何とかご飯を食べたが、塩辛いし美味しいとも何とも感じない。

以前は最早生き甲斐だと感じていた休日が、こんなにも煩わしい。

好きになったひとに好かれ、結ばれることが、付き合い続けることが、どれ程の大きな大きな奇跡か。

 

もう一度チャンスが欲しい。

今度は、もっともっとあなたを大事にするから。